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「焼く」分科会の活動内容

 日本調理科学会近畿支部焼く分科会では、設立当時大正区にある大阪ガストレーニングセンターで研究会を始めた。会員が一堂に集まり、実験をする場所がなかったため、それぞれが各大学で研究を続け、分科会で発表することを原則とした。そこで、各大学のオーブン内温度の統一を図るため、大阪ガス株式会社の提案による「黒球(こっきゅう)」を用い、オーブンの内部温度の調整を行った。また、フライパン等による実験のためには、「ガス流量計」の設置も行った。

 学術論文の1-3)は各大学で別々に行った研究結果である。その後、大阪学園短期大学の施設にて研究を進めた。

 ハンバーグに関して、O‐157を含め食中毒対策として安全を考え、ハンバーグを家庭でどのように作られているかについて、アンケート調査を行った。電子レンジ、オーブン、フライパンなどを用い焼成方法や焼き終わりの判断指標に関して実験を進めた。その結果を10報の論文にまとめ冊子とし報告した。その後、中学・高等学校の教科書出版社へ「75℃1分間加熱するためには、フライパンに蓋をすることが必要である」ことを提言し、教科書に掲載されたことから、ハンバーグの研究は完結した。

ハンバーグに関する研究後、米の消費量の増加や米粉利用拡大を推進している背景もあり、米粉を取り上げることとした。家庭でスポンジケーキを調製する際に、薄力粉では混ぜすぎるとグルテンができ硬くなると言われているが、グルテンを含まない米粉だと混ぜすぎを考えずに容易に作れるのではないかと考えた。小麦粉を微細米粉に代替することでスポンジケーキの調製方法や製品にどのように影響するのかスポンジケーキの製菓特性を検討し、米粉と小麦粉を比較することから着手し始めた。

 スポンジケーキに続き、パイクラスト、カステラ、シフォンケーキの調製条件や製菓特性を明らかにしてきた。研究を進めていくと、菓子類を調製する際には、米粉だけでなく卵、砂糖、油脂などを副材料として使用するため、その影響を探求する必要に迫られた。小麦粉では卵、砂糖、油脂、牛乳などの換水値が確立されており、これら副材料を添加した影響が研究され基礎的な部分は明らかにされている。換水値を用いて、ドウ・バッターなどの生地を作製時には目的にあった硬さにすることができ、菓子などの調製に非常に役立っている。新規用途米粉である微細米粉に関してはパンや菓子としての利用の研究が多く見られるが、基礎的研究事例が少なく、換水値は解明されていない。焼く分科会では実験研究してきた焼き菓子4種の調製条件や製菓特性を明らかにしてきたが、その過程で微細米粉での換水値や副材料の添加の影響を知る必要性が認められた。微細米粉を使用する際に換水値が明らかになり、副材料の添加の影響を解明することができれば、菓子などの調製に利便性を図ることでき、米粉利用食品の開発や拡充に寄与できると考え現在に至っている。

京都・奈良・大阪・兵庫の会員を中心に研究しています。「焼く」に興味をもっておられる日本調理科学会の会員の方は、お気軽にご参加ください。詳しくは「入会方法」を参照してください。

一般社団法人 日本調理科学会 近畿支部

支部事務局(支部長:村上 恵)memuraka★dwc.doshisha.ac.jp

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